高橋 武良氏「水のソムリエ徒然記」


2006年5月

 

最近ではスーパーマーケットやコンビニエンスストア等でミネラルウォーターの品揃えが良くなって参りました。ひと昔は「水はタダ」なんて声を耳にしていましたが、最近では「水を買う」ことが半ば常識になってきたようです。陳列棚には日本全国の名水、そして世界各国の名水が数々鎮座していますが、たくさんあり過ぎて、何を買ったら良いか判らなくなくことも、しばしば。。。

では、ミネラルウォーターを選ぶ時に目安になる指標はあるのでしょうか?簡単な指標の1つに"硬度"があります。硬度とは、ミネラルウォーターに含まれている数多くのミネラル成分のうち、カルシウム含有量とマグネシウム含有量を数式に入れて数値化したものです。

硬度[mg/L]=(カルシウム含有量[mg/L]×25)+(マグネシウム含有量[mg/L])

WHO(世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインでは、
軟水は、硬度0〜60mg/L未満。
中程度の軟水は、硬度60〜120mg/L未満。
硬水は、硬度0〜60mg/L未満。
中硬水は、硬度120〜180mg/L未満。
かなりの硬水は、硬度180mg/L以上。

・・・となっていますが、日本での一般的な認識では、

軟水は、硬度0〜100mg/L未満。
中硬水は、硬度100〜300mg/L未満。
硬水は、硬度300mg/L以上。

・・・となっているようです。販売されている商品の分布を見て、こっちの区分のほうが判りやすいと思いますので、私は日本での一般認識による区分を主に使っています。

日本の天然水は軟水の領域に多く、ヨーロッパの天然水は中硬水もしくは硬水の領域に多いようです。しかしながら、ヨーロッパの水でも、軟水もあれば、中硬水もあるし、硬水もあって、昔よく言われていた「ヨーロッパの水は全て硬い」という通説は意味を成さなくなっています。

例えば・・・

『コントレックス』(硬度1551)
http://tenant.depart.livedoor.com/t/aqua32/item_detail&id=2278451.html
は、硬水の領域。

『エビアン』(硬度291)
http://tenant.depart.livedoor.com/t/aqua32/item_detail&id=2280332.html
は、中硬水の領域。

『ボルビック』(硬度60)
http://tenant.depart.livedoor.com/t/aqua32/item_detail&id=2494198.html
は、軟水の領域。

この3アイテムは、全てフランス産。同じフランス産でも硬度の違いが大きいですね。これは、それぞれの地質に起因するもので、例えば石灰岩層から汲み上げたミネラルウォーターは石灰分、いわゆるカルシウムが多く含まれますので、硬く感じられます。
ちなみに、ワインの味わいにも地質は大きく作用します。酸が利いた風味を醸し出すワインもありますし、まろやかで甘い風味を醸し出すワインもあります。
日本国内(沖縄を除く)の水源のではミネラル成分が比較的少ないので、軟水系ミネラルウォーターが多く販売されています。

では、スーパー等でミネラルウォーターを買う時、どれを選んだら良いのでしょうか?どれが美味しいのでしょうか?
実は、それが最も難しいのです。というのは、人によって味覚に差異があるので、硬水が好きな方がいらっしゃれば、軟水しか飲めない方もいらっしゃいます。一概に「このようなアイテムを買ったら良い」とは言えないのです。とりあえず、さまざまなアイテムを飲んでみて、自分自身が好きな味わいを探求する必要がありましょう。お好みのアイテムがありましたら、裏ラベルの硬度をチェックしてみて、次回はその硬度に近いアイテムを試してみれば、ほぼ間違いないでしょう。

バーのカウンターに座り、世界のワイン巡りをしたり、スコッチウイスキー巡りをしたり、それと同じようにミネラルウォーター巡りをしてみるのも楽しいかもしれません。
貴方も世界各国のミネラルウォーターを巡って"水のソムリエ"になってみませんか?