菅名 礼留氏「大人の色水あそび」


2007.4月

「大人の色水あそび第2-1」

THE LAKE DISTRICT
(ザ・レイク・ディストリクト)

  • British Gin 25ml
  • Fresh strawberry juice 25ml
  • Crème de Fraise 10ml
  • Crème de Menthe 1dash

Shake all with ice and pour into a short cocktail glass. Garnish with peppermint leaves. Peppermint leaves can also be shook together with the other stuffs.
もう10年近く前のことになります。滞英中にイングランドの北西、カンブリアの湖水地方を訪ねたことがありました。

朝早くにロンドンを出て、M6を70mph以上で飛ばして4時間半ですから、結構な距離です。昼過ぎにWindermereに着いて、パブで腹ごしらえをした後は観光です。Grasmere村は、ワーズワース(Wordsworth, William, 1770-1850)大先生ゆかりの地と聞いて、くまなく回りました。お蔭様で墓参りまでできました。あちこちであまりに多くの日本人に出会うものですから、さすが日本人は詩歌を愛する国民である。ワーズワースはここまで尊敬を集めているのかと、ひとりよがりに感心しておりましたら、いやいや、ピーターラビットだというのです。作者のポッター(Potter, Beatrix, 1866-1943)もこのあたりにいたのだそうですね。
カンブリアの自然は南イングランドのそれとはかなりちがいます。訪れたのは5月の末でしたが、緑もさほど濃くはなく、大地は石灰がちで、ほんのりとした灰色です。その黄緑と灰色の取り合わせが、なんとも柔らかな雰囲気をかもし出しています。加えて、湖から立ち昇る水蒸気が霧や小雨となってあたりを潤しているものですから、この地方に入った途端、その気候のちがいに驚かされるわけです。村から湖水のほとりを山に向かって歩くと、雨に濡れた新緑が網膜に沁みます。道端の石垣の下には名も知らない白や黄色の花が咲いていました。
宿は田舎家のホテルではありましたが、ラウンジとダイニングだけは立派です。夕食の時間は決まっていて、皆揃ってダイニングに入ります。それまでは、ラウンジで食前酒を楽しむわけです(といっても、そこはイギリス人、みんなビールばかり飲んでいますが)。私が少し遅れて階下に降りたときには、退職者とおぼしきイギリス人たちで小さなラウンジは既に一杯でした。エールを半パイントほど飲んだところで、老夫婦に誘われてダイニングへ入りました。料理はあまり記憶しておりませんが、デザートに出た旬のいちごやラズベリーがおいしかったのを覚えています。連中のあいかわらずの早飯には閉口しましたが、よい晩餐でした。ラウンジで給仕の青年から食後酒を注いでもらいながら、スコットランドの美酒の話で意気投合するのもよいものでした。それにしても、この手の話につい力がこもるのは、Higuchi師にかぎらず、洋の東西を問わないバーマンたちの常のようですね。
部屋にもどって、窓を開け放つと、夜風が運ぶ新緑のにおいが鼻孔を満たします。風を頬に受けながら、いつのまにか寝入っていました。


"Foresight"

William Wordsworth

THAT is work of waste and ruin--
Do as Charles and I are doing!
Strawberry-blossoms, one and all,
We must spare them--here are many:
Look at it--the flower is small,
Small and low, though fair as any:
Do not touch it! summers two
I am older, Anne, than you.

Pull the primrose, sister Anne!
Pull as many as you can.
--Here are daisies, take your fill;
Pansies, and the cuckoo-flower:
Of the lofty daffodil
Make your bed, or make your bower;
Fill your lap, and fill your bosom;
Only spare the strawberry-blossom!

Primroses, the Spring may love them--
Summer knows but little of them:
Violets, a barren kind,
Withered on the ground must lie;
Daisies leave no fruit behind
When the pretty flowerets die;
Pluck them, and another year
As many will be blowing here.

God has given a kindlier power
To the favoured strawberry-flower.
Hither soon as spring is fled
You and Charles and I will walk;
Lurking berries, ripe and red,
Then will hang on every stalk,
Each within its leafy bower;
And for that promise spare the flower!